学会活動

遠視性不同視弱視における不同視差の減少について

要約

不同視弱視と診断した幼児の治療結果より、遠視性不同視が後天性に発症する可能性を検証した。6歳未満によだ眼科クリニックを初診し、3年以上経過観察した87例を対象とし、角膜曲率半径が0.1mm以上左右差があるものは除外した。眼鏡装用・健眼atropine点眼・健眼遮閉により治療した結果、46%に不同視差の減少を認めた。その内訳は不同視が発症する前に戻る可逆性が残る時期によって、治療に反応する型に違いが出た。3例は初診時のミドリンP点眼のみで不同視がほぼ消失した。13例は初診時のミドリンP点眼のみでは不同視差は変わらなかったが、健眼atropineと眼鏡常用により健眼の調節が寛解した時期にatropine refractionを実施したところ、不同視が減少した。24例は長期経過により、弱視眼の調節力回復も加味されて不同視が減少した。これらの結果より、遠視性不同視弱視は発症早期に治療開始すれば、不同視そのものを減少・消失せしめる可能性があると推論した。

よだ眼科クリニック院長 依田初栄

キーワード

  • 不同視差の減少
  • 調節の左右差
  • 後天性発症
  • 可逆性
  • 健眼潜伏遠視

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