裸眼視力が0.01というだけで弱視だという言い方をすることがありますが、メガネをかけて(1.5)みえれば勿論弱視ではありません。メガネやコンタクトレンズで矯正しても視力が上がらない眼をいいます。広い意味では、眼の病気のために矯正視力が上がらないのも弱視といいます。しかし弱視治療の対象になるのは、原則として眼の病気がないのに矯正視力が上がらない弱視です。
遠くを見ても、近くを見ても、ピントが合わないような強い屈折異常(遠視 乱視 強度近視)がある場合に視力の発達が固まってしまう6才すぎまで放っておくと両眼とも弱視になるものです。
正常な発達にブレーキをかけている屈折異常をしっかり矯正するメガネをかけること、しかも一日中、お風呂と寝る時以外はかけることが必要です。
子供用のメガネはプラスチックレンズで作りまず割れる心配はありませんし、眼にボールがぶつかったときでもフレームで眼の周りに切り傷をつけることはあっても、眼がつぶれるような怪我は防げるぐらいなのです。
また、メガネをかけてくれるだろうかという親の心配は意外と「案ずるよりは生むが易し」と言った具合で、度が強い子供ほどメガネをかけている方が楽なのでよくかけてくれるものです。
屈折異常に原因があれば、眼鏡をかけることが原則ですが、左右差のあることや、左右差が出てくることが先決問題なので、眼鏡をすぐにはかけられなくても、アイパッチ(健眼遮蔽)や健眼に調節麻痺剤を点眼する場合もあります。
不同視とは左右の屈折度が違うことですが、生まれつき違う訳ではないのです。
元は同じ度だったのに、両眼の筋肉が頑張ってピントを合わせているのに疲れ果てた時に、片目を使うのを止めてしまった結果、左右ビッコになったものなのです。
そこで、手遅れにならないうちに治療を始めると、左右の差が少なくなってきて、不同視が治ってきます。
不同視に成り易い屈折異常は遠視が多いのですが、時に乱視の場合も起こります。
治療開始時期が早ければ、眼鏡をかけるだけでも弱視は治りますが、不同視は治りません。不同視が残れば、成長とともに遠視が少ない健眼(利き眼)が近視になってしまいます。不同視を治すことは、利き目が将来、近視になるのを予防することにもなるのです。
弱視を治すためには眼鏡を一日中かけたうえで、検眼遮蔽(視力が良い方を隠して悪い方だけでものを見る訓練)をしますが、不同視を治すためには健眼の筋肉の使い過ぎを抑えるために、調節麻痺剤を点眼します。
斜視が原因でおこったものが斜視弱視です。斜視になると右眼でみているものと、左眼でみているものとでは方向がちがいますから、世の中のものがすべて二つみえてしまいます。これを複視といいます。そこでまだものを見る働きが未完成の乳幼児では、複視を消すためにいろいろな適応現象をおこします。きき眼だけを使うことにして、反対の眼を使うのを止めてしまえば、使わなくなった眼は視力が育たなくなってしまいます。